東京中央卸売市場が旧日本橋区にあった明治後期、初代当主・吉川達次郎が明治43年4月に同区小田原町にて漬物、佃煮の販売業を創業。
屋号を『吉岡屋本店』としました。
当主・吉川達次郎の「食」へのこだわりは人一倍で、「本物を売る店」を目指し探究に探究を重ね、後に名物となる『東京奈良漬』を作り上げました。
以来、その味を広く伝えるべく努力を続けて100年、現在では全国各地のあらゆるお漬物を取り揃え、お客様のご好評を頂いております。
今後もなお、初代・吉川達次郎の「食」への探求心と真心の精神を受け継ぎながら、『伝統の味・本物の味』をお客様にお届けしたいと考えております。
奈良漬と共に百余年
本場奈良の奈良漬は酔っ払うほどのアルコール分と、しっかりした塩味が特徴です。
しかし、より多くの人々に奈良漬を食べて頂きたいと考えた創設者達次郎は「子供でも食べられるお菓子感覚の奈良漬を」をテーマに甘口の奈良漬作りをはじめたのです。
創設者達次郎の奈良漬は、酒っぽさと塩気を抑え、上品な甘みを持つ逸品に仕上がりました。
使用する瓜は全て徳島県産、酒粕も国内の酒蔵から調達し、下漬けから仕上げまでの全行程を手作業で行っています。
これは我社の伝統であり、一番のこだわりでもあります。
なぜなら、人が手をかけなければ愛情も温もりも伝わらないと固く信じているからです。
また、変わり行く現代人の食生活に日本特質の発酵・醸造技術の結晶とも言うべき漬物文化を、さらに取り入れて頂きたく、洋食レストランなどへの積極的に提案していくなど、新たな取り組みも始めています。
吉岡屋本店は、いつの時代でも愛される漬物作りを目指し、奈良漬と共に進化を続けています。
漬物一筋江戸の味
10月は白首大根の収穫期。江戸の町ではいまやおそしと「べったら市」の初売りを待っていました。
建前としては、恵比須講祭りだったにしても、浅漬大根のみずみずしいシャキシャキした歯応えと香り、そこに麹と砂糖の甘みが加わったべったら漬は当時、江戸っ子なら誰もが待ち望む秋の風物詩だったに違いありません。
吉岡屋本店は昔ながらの『皮付きべったら』と、現代風にアレンジされた『皮むきべったら』の二本立てで江戸の風情を今に伝える味作りに励んでいます。
洗練された味のバランス
関東の奈良漬は「甘ったるい」と言われがちですが、口に入れた瞬間の感覚は「おいしさ」を決定する上で大きな影響を与えます。
吉岡屋本店の奈良漬は「おいしさ」を感じる甘味・塩味・アルコール度のバランスにこだわり、上品ですっきりした甘味と、アルコール独特の苦味を消しながらもコクのある味を実現しました。
また、使用する酒粕の熟成度や、漬け込み期間・工程数を変更させることで出来た最上級の『特選』から、甘味を少し抑えた『徳価』まで、3種類のバランスをお楽しみいただけます。
これからの百年を目指して
創業から百余年、伝統の味を漬け込み続けてきた吉岡屋本店が、新たな「食」へのこだわりとして青果部門をスタートさせています。思えば漬物屋がその素材に目を向けることはごく自然な事でした。むしろ、野菜それぞれの魅力や、楽しみ方をより深く理解しており、なおも学び続けています。
YKCでは、普通野菜の他に促成野菜を積極的に取り扱う事でお客様に料理の可能性をより広く提案しています。
近頃では、漬物にも様々な野菜が使われる様になりました。面白い野菜と伝統の漬け込み技術が交わった先に新しい味・新しい提案がうまれてくるでしょう。
長年に渡り、使用する素材に愛情を注ぎ込んできた漬物屋から生まれた「YKC」。吉岡屋本店の商いの精神を受け継ぎ、人の手から手へ新鮮な野菜や果物をていねいにお届けします。また、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら共に成長していく青果事業でありたいと考えております。